血管新生(angiogenesis)とは元々ある血管から新しい血管を形成することで、成人の正常な人体にみられる生理的な現象や、特定の疾患にみられる「新しい血管が形成されるプロセス」であります。
人間の血液のパイプである血管には、全身の細胞に新鮮な酸素と栄養素を供給する動脈と、全身の細胞の老廃物と二酸化炭素を運ぶ静脈があり、胚形成期以降に、すでにある血管から新しい血管が作られることを血管新生と呼び、女性の排卵時や妊娠時、外傷が治癒するときなど日常的に起こっている現象なのです。
血管新生そのものは病気ではなく、規則的な血管新生は通常の生理的な現象ですが、現在血管新生依存症疾患として、約50種類もの疾病・・血管腫、肥大性の瘢痕、歯周病、強皮症、角膜移植片の血管新生、新生血管性の緑内障などにおいて確認されています。血管新生は、また固形ガン、関節炎等、乾癬、変型性関節症、加齢性黄班変性症の症状にも密接な原因があると言われています。つまり、この血管新生がガン細胞で起こった場合、新しくできた血管が悪性腫瘍に栄養を供給するパイプとなり、腫瘍の成長を早めてしまうのです。
ガン以外でも慢性関節リウマチや変形性関節症、血管腫、歯周病、緑内障などのときも血管新生が起こり、血管新生依存性疾患と呼ばれています。
サメの軟骨には血管新生抑制作用があることが立証されています。大人の哺乳類の場合、体重のわずか1%ほどの量しかありませんが、サメは軟骨魚で、体重の6〜8%という大量の軟骨で体を支えています。これは同じ大きさの哺乳動物と比較して、ほぼ1000倍の量にあたります。サメ軟骨の「血管新生抑制物質」を利用することができれば、「血管新生」を防ぐことができるのではないか。そう考えた研究者たちが「血管新生抑制物質」の働きを調べる研究をし、欧米では製薬会社が研究を重ねその抑制物質の特定に成功してきています。
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